訪日外国人観光客の中で、台湾観光客は安定した訪日外客数と高い購買力を誇り、インバウンド市場において欠かせない存在です。しかし、「台湾観光客が本当に求めている情報がわからない」「SNSや口コミの活用が十分にできていない」といった課題に直面している多くの企業や自治体は、十分な成果を上げられていないのが現状です。

台湾人はSNSや口コミを重視し、オンライン情報をもとに旅行計画を立てる傾向があります。そのため、従来の広告施策だけではなく、ターゲットに合ったデジタルマーケティング戦略が求められます。本記事では、台湾市場の特性を深掘りしながら、台湾観光客の行動パターンやニーズに基づいた効果的なSNSプロモーション戦略を成功事例とともに解説します。台湾インバウンド市場への理解を深め、適切なマーケティング施策を導入すれば、台湾インバウンド集客を大幅に向上させることができます。

台湾インバウンド集客ために知っておきたいデータ

■ 訪日台湾人の基本データ

台湾は、日本にとって最も重要なインバウンド市場の一つです。地理的に近く、文化的にも共通点が多いため、多くの観光客が日本を訪れています。以下に、台湾市場を理解するための基本情報をまとめました。

▲参照:台湾行政院、日本政府観光局(JNTO)、外務省国・地域基礎データ、台湾中央銀行

台湾人海外旅行動向

台湾政府のデータによると、2023年には台湾人の海外旅行者数が1,179万人に達し、総人口の半分が海外旅行を経験しました。主な渡航先は日本、中国、韓国で、これら3地域で全体の約60%を占めています。

訪日台湾人の訪問時期

▲日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データ 訪日外客数の推移(月別)

実際に訪日台湾人が最も増加する時期は、観光局の「月別の訪日台湾人外客数の推移」 データから確認できます。コロナ禍以前は、4月から7月にかけて訪日台湾人の数が増加する趨向がわかります。特に春から夏にかけての時期が最も多かったです。しかし、2024年の最新データでは、6月から8月に訪日した台湾人が最多で、次いで1月から2月の冬季も人気になっています。

訪日台湾人の訪日回数と滞在日数

▲観光庁「訪日外国人の消費動向」訪日回数(観光・レジャー)

台湾人は親日的なイメージが強く、訪日リピーター率も高いです。観光庁の「台湾市場基礎データ」によって、約80%が2回以上の訪日経験を持ち、10回以上訪問しているヘビーリピーターも23.5%に上ります。また、滞在日数の平均は以下の通りです。

▲観光庁「訪日外国人の消費動向」滞在期間別の内訳(台湾)

 

▲観光庁 訪日外国人の消費動向(2018・2019・2022・2023年間報告および2024年7~9月期の調査結果) 

観光・レジャー目的の訪日台湾人の61.3%が4~6日間、32%が7~13日間滞在しています。コロナ禍を除く全目的の訪問における平均滞在日数は6日以上を維持しています。これは、台湾観光客が「長期滞在よりも短期間で何度も日本を訪れる」傾向が強いことを示しています。

このように、訪日客数の増加が続いている台湾市場に注目することで、インバウンド事業のさらなる成功が期待できるでしょう。これからは、台湾観光客の特徴や行動パターンについて詳しく解説します。

台湾観光客が日本に旅行する4つの目的

 

日本は台湾から地理的に近く、文化的にも共通点が多いため、台湾観光客にとって親しみやすい旅行先の一つです。台湾人が日本を訪れるのは、日本食の堪能、ショッピング、観光名所の訪問、そしてSNS映えする写真撮影といった目的が挙げられます。以下に、それぞれの目的について詳しく解説します。

1.日本のグルメを味わう

日本は四季折々の旬の食材に恵まれ、豊かな食文化を持っています。寿司やラーメン、和牛すき焼きなどの独特料理は、台湾観光客にとって大きな魅力です。外国で有名なラーメンチェーン店「一蘭」は、台湾にも店舗を展開しているにも関わらず、「本場の味を食べたい」という理由で日本国内の一蘭を食べに行く台湾人観光客も少なくありません。また、北海道にしか食べられない新鮮な海鮮丼や伝統的な製法で作られた京都の抹茶と和菓子など、地域の特色があるグルメ体験も人気です。これらの「日本ならでは」の味を求めて、台湾観光客は日本各地を訪れています。

2.ショッピングを楽しむ

日本製品は安全・安心とされており、円安による割安感もあり、ショッピングは台湾観光客の大きな訪日理由の一つです。お菓子、衣類、医薬品などの需要特に高まっています。浅草で名物の人形焼を食べ歩きしたり、一流ブランド店が建ち並ぶ銀座でシャネルやディオールなどのブランド品を購入したり、新宿・渋谷で鎮痛薬EVEやニチバンロイヒつぼ膏などを探したり、東京の繁華街では台湾観光客の姿が多くみられています。

3.観光名所の訪問

台湾観光客にとって、東京、大阪、京都などは定番の観光地ですが、近年では東北や四国、九州など、直行便でアクセス可能な地方都市も人気を集めています。例として、最近有名な観光スポットとなった宮城県の蔵王キツネ村や、山形県の蔵王の樹氷は、台湾との定期便がある仙台空港からのアクセスが便利なため、訪れる台湾人観光客が増えています。また、「スラムダンク」や「鬼滅の刃」の舞台となった場所を巡るアニメ聖地巡礼も、新たな定番となっています。さらに、近年では、モノ消費からコト消費への変化が見られ、スキー場でのウィンタースポーツや温泉旅行、テーマパークでの滞在といった体験型観光の人気も急上昇中です。

4.SNS映えする写真撮影

台湾ではSNSが日常生活に浸透しており、旅行中に「非日常的な映える写真」を撮影することが一つのの楽しみとされています。そのため、フォトジェニックな観光スポットやおしゃれなカフェ、ユニークな体験ができる場所が特に好評を博しています。例えば、東京のチームラボプラネッツや渋谷スカイは、デジタルアートや都会の絶景を楽しめる「非日常系」スポットとして、台湾のSNSでも頻繁に紹介されており、訪日旅行の定番スポットとなっています。また、インテリアやデザインと照明、料理の盛り付けを工夫したカフェやレストランも、「映える場所」として注目されています。特独の雰囲気を楽しめる店舗は、訪れるだけで映える写真が撮れるため、SNSでバズりやすく、多くの台湾観光客を呼び込んでいます。

台湾観光客の行動パターンを理解し、彼らの興味を引く施策を展開すれば、より多くの訪日観光客を呼び込むことが期待できます。

台湾人が日本旅行する前の情報源3選

台湾人は、日本旅行する前に多様な情報源を活用し、効率的に旅行計画を立てる習慣があります。インターネットを通じて簡単に多くの情報を得ることができ、旅行の準備がさらにスムーズになっています。今回は、台湾人が利用している訪日情報源のトップ3位を紹介します。

主な情報源の構成比(2023年度)

▲日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データ 訪日旅行前に役立った旅行情報源(2023年度・台湾)

■ 1位:動画サイトでリアルな体験をチェック

現在、動画コンテンツが主流となっており、YouTubeは台湾観光客にとって欠かせない情報源です。特に、日本を訪れた台湾人YouTuberが掲載するリアルな体験動画が人気です。例えば、「東京のグルメ巡り」や「東京ディズニーランド完全攻略ガイド」といった動画は、具体的なモデルコースやおすすめスポット、交通手段を映像で分かりやすく紹介しており、旅行者の期待感を高めています。

また、台湾人YouTuberが紹介する地元ならではの隠れた名所も注目されています。例として、日本でスノーボードを体験するために長野県の志賀高原を訪れた台湾人YouTuberは、東京からのアクセス、宿泊施設、スキー場での体験を詳細に紹介しました。このような動画は、穴場のスポットや観光地をリアルに伝えるため、新鮮さと信頼性を兼ね備えた良いコンテンツとして評価されています。

2位:SNSで最新情報を取得

InstagramやFacebookといったSNSは、台湾観光客が最新情報を取得するための重要な手段です。Digital 2019 の調査によると、台湾人の約89%がアクティブなSNSユーザーです。特にFacebookとInstagramは、世代を問わず広く利用されています。

SNSの特徴は、視覚的なコンテンツを通じた情報発信の強さにあります。台湾観光客は美しい写真や動画のみならず、リアルな口コミやレビューも重視し、SNSに投稿された情報をもとに訪問先を決めることも珍しくありません。

さらに、SNSのハッシュタグ検索を活用すれば、最新情報を簡単に収集できます。「#日本旅行」や「#東京グルメ」などSNSユーザーがよく使われているハッシュタグを検索すると、最新の観光スポットや人気の飲食店などの情報を得ることが可能です。そのため、若年層から家族連れまでの幅広い台湾観光客に活用されています。

3位:個人ブログの詳細モデルコースを参考

台湾ではブログ文化が根強く、旅行前の情報収集においても重要な役割を果たしています。ガイドブックよりも、ネット上の最新情報を重視する傾向があります。特に、詳細な体験談や旅費の内訳、乗り換えまでのアクセス情報を含むブログ記事は台湾観光客に共感を呼びやすく、信頼されています。

多くの台湾人ブロガーは、「東北○○日の旅」や「京都の紅葉巡り」といったテーマの記事を投稿しています。記事に具体的なスケジュールアドバイスやお得な情報が提供されており、台湾観光客が訪日旅行計画を具体化する際に、有益な参考資料として役立っています。これらのブログは、台湾人にとって信頼できる情報源であり、訪日前の不安を解消する手助けをしています。

これらの情報源を活用し、台湾観光客は個人の好みに合わせた旅行計画を立てることが多くいます。そのため、プラットフォームでの情報発信やプロモーションは、台湾訪日客誘致における重要な施策と言えるでしょう。

観光地のPRを成功させる鍵:台湾人インフルエンサーの活用

 

旅行の体験談を重視し、SNS利用率の高い特性を持つ台湾人に対して、日本観光地をプロモーションするなら、台湾人インフルエンサーの招聘が非常に効果的です。大きな影響力を持つインフルエンサーは台湾人の好みやトレンドを熟知し、YouTubeやInstagram、ブログなどを通じて、観光地の魅力を最適な方法で発信しています。下記は、各媒体で実際に行われた成功事例を挙げられます。

■YouTubeでの富士山河口湖観光PR|老辣妹

YouTubeは長尺の動画で詳細な情報を伝えられるため、旅行ガイドとして非常に有用な媒体です。登録者数15.8万人を誇る台湾の人気YouTuber「老辣妹」さんは、富士山と河口湖エリアの日帰り観光プランを紹介した動画があります。

富士山の絶景を強調するだけではなく、実写動画で富士山の魅力を伝え、現地での移動・グルメ情報を詳しく紹介するのが成功ポイントだといえます。動画は110万回以上再生され、富士山河口湖の旅行プランを立てる際に有益な参考として視聴者に高く評価されています。

参考URL:老辣妹 - YouTubeチャンネル

■ Instagramで京都の焼き団子を紹介|樂冠廷

Instagramは、画像やリールを通じて魅力を伝えるのに最適なSNSプラットフォームだと言われています。フォロワー数90.5万人を持つ旅行系インスタグラマー「樂冠廷」さんが、リール投稿を活用し、京都の「まるもち家」の焼き団子を紹介しました。そのリールがヒットの話題となり、わずか3週間で1.9万件以上の「いいね!」を獲得できます。投稿には店舗の営業時間や所在地も添えられ、フォロワーからは「絶対行きたい」といったコメントが寄せられています。このように、実用的な情報と視覚的な魅力点を兼ね備えたPR投稿は、台湾観光客への効果的なプロモーションとなります。

参考URL:樂冠廷のInstagram

■ 東京旅行初心者向けのガイド記事を執筆|林氏璧

ブログは、文章と写真を組み合わせて詳細な旅行記を提供できるため、根強い人気を持つメディアです。台湾の有名ブロガー「林氏璧」さんは、自身のブログ「林氏璧和美狐團三狐的小天地」で、東京旅行初心者向けの記事を執筆しました。

日ごとのスケジュール計画、宿泊地の選び方、観光スポットのおすすめなどを詳細に掲載し、宿泊施設の費用やアクセス方法も記載されており、リピーターも初心者の台湾訪日客にとっても非常に実用的な内容となっています。さらに、ブログ記事の閲覧回数が公開され、読まれた回数か多ければ多いほど、読者から見れば、信頼性がある記事だと伝わります。

参考URL:林氏璧和美狐團三狐的小天地

台湾人インフルエンサーマーケティングなら「Allez」にお任せ

訪日台湾観光客数は、コロナ禍以前の水準まで回復しつつあり、台湾市場向けのマーケティング施策の重要性がますます高まっています。しかし、多くの事業者や自治体は以下のような課題を抱えています。

  • 台湾観光客を集客したいが、具体的な方法がわからない
  • 予算が限られていて、台湾現地インフルエンサーの起用が難しい

そんな時は、「Allez(アレイ)」にご相談ください。

Allezは台湾の大手DX企業「Digit Spark」グループの一員であり、旅行系インフルエンサーを特化したインバウンドマーケティングサービスを提供しています。台湾市場に精通した専門家チームによる、効果的なインフルエンサープロモーション戦略の立案から、最適なインフルエンサーの選定、プロモーションコンテンツの制作、結果の報告までを一貫してサポートします。

台湾市場でのプロモーション施策を成功させたい方、またはインフルエンサーを活用した集客方法に興味がある方は、ぜひAllezのホームページご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。