訪日外国人観光客の数は年々増加しており、「どうすれば自社や店舗により多くの外国人観光客を呼び込めるのか?」と悩む事業者が増えています。多言語対応への不安やプロモーション施策の方向性への迷い、SNS活用の手段が分からないなど、現場では具体的な解決策が求められているでしょう。

外国人観光客の動向を把握し、成功事例を参考にすることで、効果的なアプローチ方法を見出すことが可能です。本記事では、外国人観光客を増やすための基本知識、施策、そして実際の成功事例を紹介します。これらの情報を解説しながら、店舗や施設などの担当者に最適なプロモーション計画を立てるヒントを提供します。

外国人観光客を増加させる理由と重要性

■ 最新データから知る訪日外国人の動向

外国人観光客を呼び込むためには、インバウンド市場の現状を正確に理解することが重要です。観光庁の最新版アンケート調査結果によると、2024年1月から11月までの訪日外国人観光客数の上位10カ国・地域は下記の通りです。

▲2024年 観光庁(JNTO) 訪日外客数月別推移(2024年11月20日発表)(3ページ)

さらに、10月に発表されたインバウンド消費動向調査では、2024年7月から9月期における訪日外国人観光客の一人当たりの平均旅行支出額は約22万3千円となっています。その内訳は、宿泊費が最も多く、次いで買物代、飲食費が続いています。

外国人観光客を増やす意義とは?

インバウンド需要が高まる現在、外国人観光客の集客は、新規顧客の獲得や売上と利益の増加に繋がります。しかし、インバウンドの恩恵を受けるのは観光産業のみならず、地域経済の活性化や国際交流の促進といった多方面の効果をもたらします。

特に少子化が深刻化している日本社会では、国内消費の減少が大きな課題となっています。このような状況において、外国人観光客の消費は地域経済を支える重要な柱として期待されています。観光庁が2019年に発表した資料では、定住人口1人分の消費減少を外国人観光客8人分の消費が補えるとされ、インバウンド観光の重要性が改めて注目されています。

さらに、インバウンド観光による収益増加は、地域のインフラ整備やサービス向上に再投資すれば、地域全体の魅力を高めることが可能です。将来的には、さらなる観光客を呼び込む好循環を生み出します。

インバウンド需要という追い風を活用するため、地域や企業は効果的な集客施策を実行し、観光業を通じた持続可能な地域づくりを目指すことが求められています。

訪日外国人集客の基礎知識を徹底解説

訪日外国人観光客を効果的に引き寄せるためには、観光客がが旅行計画を立てる際にどの情報源を利用しているのかを理解することが不可欠です。こうした情報を把握し、インバウンド集客施策をより的確に実行するための方向性を見出すことができます。以下では、訪日外国人観光客にとって最も有用とされる情報源について紹介します。

外国人観光客の情報収集手段

観光庁が2023年に実施した「訪日外国人の消費動向調査」のデータから見ると、訪日外国人観光客が利用している情報源の割合は以下のようになっています。

 

▲観光庁(JNTO) 訪日外国人の消費動向調査(2023年 年次報告)(23ページ)

調査結果から分かるのは、オンライン情報源、特にSNSや動画サイトが積極的に利用されていることです。これらは訪日外国人にとって重要な情報収集ツールとも言えます。では、これらの主要な情報源の特徴を詳しく解説しましょう。

動画サイト:現地の雰囲気をリアルに伝える

YouTubeなどの動画プラットフォームは、観光地や宿泊施設、アクティビティの魅力をリアルに感じられるコンテンツが人気を集めています。動画映像は現地の雰囲気を視覚的に直接伝えることができ、旅行先選びの参考材料として重要視されています。特に、動画を通じて「実際にそこに行ってみたい」と感じさせる力は非常に強いです。

SNS:テキストとビジュアルコンテンツが豊富

SNS(海外ではソーシャルメディアとも言います)は、テキストとビジュアルコンテンツを活用できる強力なツールであり、ハッシュタグを活用し、観光地の魅力を効果的に拡散することが可能です。特に、InstagramやFacebookでは、写真や動画を通じて旅行者の共感を刺激し、「行きたい!」という感情を引き起こすことが多いです。

個人のブログ:具体的な体験とスケージュールを共有

個人のブログは、観光地に実際に訪れた体験談や詳細な旅行スケージュールを紹介することが多く、特に現地の詳細なアクセス情報や予算に関するアドバイスが役立ちます。実際に現地に行った人の体験談を読むと、訪問先のイメージがしやすくなるため、旅行計画を立てる際に有用な情報源となっています。

口コミサイト:信頼度の高い情報

家族や知人の体験談に加え、TripAdvisorやGoogleレビューのような口コミサイトは、旅行者によるリアルな意見が表示させています。これらの口コミは、宿泊施設や観光地選ぶ際に重要な参考材料となり、特に口コミの量や評価の良さは、観光地やサービスへの期待値を大きく左右します。

公式ホームページ:計画段階で役立つ基本情報を提供

旅行会社や宿泊施設の公式サイトは、具体的な旅行プランや宿泊オプションを検討する際に非常に役立つ情報源です。また、日本政府観光局(JNTO)の公式サイトは、多言語対応で信頼性が高く、各地の基本情報を網羅しているため、訪日外国人観光客に広く利用されています。

訪日外国人観光客が利用する情報源を把握し、それを基にしたプロモーションや施策を展開することは、観光客の増加において極めて重要なステップです。

 

外国人観光客を増やすには?効果的な集客方法4選

外国人観光客を増加させるためには、訪問地の魅力を最大限に引き出し、観光客が「訪れてみたい」と感じるような戦略を立てることが大事です。ここでは、外国人観光客を効果的に集客するための具体的な方法を4つ紹介します。

1.海外向けSNSで魅力的な情報を発信

前述のように、SNSを活用して魅力的な画像、テキスト、動画コンテンツを発信し、外国人観光客の訪問地への興味を喚起できます。予算が限られていても、自社のSNSアカウントを作成すれば、国内外の観光客に向けた情報を発信することが可能です。さらに、多言語でコンテンツを投稿したら、日本語が分からない外国人観光客の関心を引きやすくなります。

2. インフルエンサーマーケティングの活用

ターゲット市場で影響力を持つインフルエンサーと連携し、彼らのフォロワーに向けてプロモーションを行うことは、信頼性の高い情報提供方法として非常に効果的です。インフルエンサーが実際に現地に訪れ、自身のSNSで体験談やレビューをシェアしてもらいます。そうすると、フォロワーは観光地やサービスの認知度が大幅に高めるでしょう。

3. 多言語対応サービスの充実

訪日外国人観光客が快適に旅行を楽しむためには、多言語対応のサービスが必須です。例えば、観光地や宿泊施設、飲食店での案内やメニューを英語で提供するなど。また、英語をはじめとする他言語で対応できるスタッフを配置したら、旅行者の安心感をさらに高め、旅行の満足度向上やリピーターの増加に繋がります。

4. 体験型ツアーやアクティビティの提供

日本独自の文化や風景を深く体験できるツアーやアクティビティは、外国人観光客を引き寄せる大きな要因となります。特に、多言語対応が可能な地域特有の体験(茶道、温泉、伝統工芸など)を提供できると、訪日外国人にとって非常に魅力的な選択肢となり、観光地への訪問意欲を高めることができます。

訪日観光客を増やす取り組み | 事例から学ぶ成功方法

訪日外国人観光客を増加させるためには、地域や店舗、宿泊施設が効果的なインバウンド対策を実施しています。その中に成功した事例も多くあります。以下に3つの具体例を挙げます。

多言語SNSを活用してファンを増やす

SNSを運営することは、インバウンド集客の基本対策と言えます。特に、英語や中国語で情報を発信しているアカウントは、訪日観光客層に直接アプローチできます。岐阜県高山市は、英語対応のFacebookページ「Visit Hida Takayama」を運営しており、このページでは、人気アニメ映画関連のスポットや観光情報を発信しています。その結果、4.8万人以上のフォロワーを獲得しました。また、投稿へのコメントには英語で丁寧に返信できるゆえ、外国人観光客との信頼関係を築き、高山市のファンを増やしています。

ハッシュタグで観光地の魅力を発信

InstagramなどのSNSでハッシュタグを積極的に使用すれば、投稿が検索されやすくなり、外国人観光客の目に留まりやすくなります。例えば、高山市は「#TakayamaGram」「#visitTakayama」などの独自のハッシュタグを使って地域の魅力をアピールしています。一方、京都の舞妓体験スタジオは、「#kyoto」「#maiko」「#discoverjapan」など、海外でも認知度の高いビッグワードを活用しています。ハッシュタグの活用により、幅広い分野の外国人ユーザーに観光地の情報を届けることができます。

多言語対応の解説や案内で満足度向上

観光地や店舗が多言語での案内を提供によって、利用者の満足度を大きく向上させることが可能です。例えば、新潟県長岡市では、観光地やイベントで「QRトランスレーター」を導入しました。設置されたQRコードをスキャンすると、14カ国語で音声やテキストの案内を利用できます。この仕組みは、観光地全体のホスピタリティ向上にもつながり、特に毎年多くの外国人が訪れる長岡花火大会でも多く利用されています。

 

外国人観光客を増やす取り組み成功例の戦略分析(福島・埼玉)

インバウンド集客の対策において、しっかりとしたデータ分析を行い、ニーズに適した戦略が必要です。ここでは、福島県と埼玉県の成功事例を解析し、それぞれの要因と効果を詳しく説明します。

福島県:ターゲットを絞ったWebプロモーション戦略

福島県は、東日本大震災と原発事故の影響で、長年インバウンド観光の集客に苦戦していました。その状況を改善するため、ターゲット国を台湾、タイ、ベトナム、オーストラリアの4カ国に絞り、観光テーマを、「ヒストリー」「アウトドア」「ヘルス」「ネイチャー」の4つに分類し、それに基づいたWebプロモーションを展開しました。

具体的な取り組みとして、外国人スタッフの視点を活かして、外国人に「刺さる」PR動画を制作し、ターゲット国の興味関心にマッチするコンテンツを発信しました。制作された動画は、インストリーム広告やGoogle広告を通じて配信され、初回配信で1,200万回の再生を獲得しました。その後、欧米市場にも拡大し、2週間で2,200万回再生を達成しました。この成果は、当時の地方自治体として過去最高の記録となりました。

プロモーション実施後1年で、ターゲット国の宿泊者数が大幅に増加しました。特に台湾の宿泊者数は2016年から2017年にかけて52.7%増加して、観光客誘致に成功しました。ターゲット市場の明確化、戦略的なプロモーションと広告の活用が成功する鍵となります。

埼玉県:インフルエンサーを活用した情報発信

埼玉県は、SNSとインフルエンサーを活用したプロモーション戦略を展開し、地域の魅力を広く発信しました。その中で注目されたのが「アンバサダー制度」です。

具体的には、外国人を招待して地域の魅力を発信することです。例えば、埼玉大学留学生やタイの人気女優を起用し、埼玉県の観光地や文化を紹介してもらいました。また、ニュージーランド出身の外国人タレントを起用し、埼玉県の魅力をInstagramで発信しました。このインフルエンサーは現在9.8万人のフォロワーを持ち、2024年には「埼玉県広報アンバサダー」に任命され、Instagramを通じて埼玉県のPR活動を続けています。

今年、埼玉県は19組20名のインスタグラムマーを任命し、Instagramでのプロモーション注力しています。視覚的な訴求力が高いInstagramを中心に、外国人観光客の関心を引くコンテンツを展開しています。

埼玉県の取り組みは、SNSを活用した現代的な観光プロモーションの成功例として、他の自治体にも参考になる施策といえます。

外国人観光客集客のノウハウを提供する『Allez』

インバウンド市場の拡大に伴い、効果的なプロモーション戦略を展開するためには、ターゲット市場の文化や消費動向を深く理解し、それに基づいたマーケティング施策を講じることが重要です。

『Allez(アレイ)』は台湾を拠点とするインバウンドマーケティング企業で、台湾市場を中心に観光促進プロモーションサービスを提供しています。特に台湾市場に精通しており、SNSやインフルエンサーマーケティングのノウハウを持ち、デジタルマーケティングを活用したPRを通じて、地域や企業のインバウンド集客ニーズに柔軟に対応したサポートを行っています。

現在、費用対効果の高い台湾市場向けのプロモーションプランを展開しています。訪日外国人観光客の集客を強化したい方は、ぜひ一度Allezのホームページをご覧ください。